方向幕
車両の側面に取り付けられ、列車の行き先や種別を表示するのが「方向幕」です。かつてはスチール製などの板を取り付けて表示する形態のいわゆる「サボ」という行先表示板が使われていましたが、取替えの手間がかかるため、次第に電動式の方向幕に取って代わられることになります。
方向幕の基本形態は長いロール状のものに行き先を書いておき、それを巻き取ることで表示内容を変えるというものです。この方法が使われ始めたのはそれほど最近でもなく、電動ではない手動式のものは明治・大正時代の、特に路面電車タイプの車両に使われていたようです。ただし、このような手動方向幕は係員の操作がしやすい列車の前面・後面だけの設置に限られ、側面に表示する必要がある場合はサボを使用する時代が長く続きました。
現在のように車両の側面にも方向幕が取り付けられるようになったのは近年になってからです。実は東海道新幹線が開業したときに導入された車両では、方向幕ではなくてサボが採用されていました。正確なことは不明ですが、車両側面に方向幕をつけた車両が本格的に増え出したのは昭和40年代半ば以降であるようです。
現在ではほとんどの鉄道車両に側面方向幕が取り付けられるようになり、その形態やデザインのバリエーションは豊富になりましたが、そのような中でLED(発光ダイオード)を採用した新しい方式の方向幕(?)を採用するケースが増えています。LED式を採用する利点としては表示の切り替えがすぐにできること、幕が破れるなどの破損がないこと、後に表示内容を追加する場合でもすぐに対応できること、コストが安いことなどが上げられますが、一方で日光に当たると見にくいなど、まだまだ克服すべき点があります。
JR各社
JR東日本 113系
東北地方
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関東地方
京急 新1000形(2次車)
大手民鉄・地下鉄
東京臨海高速鉄道(りんかい線)・東京モノレール・つくばエクスプレス
北総鉄道・千葉ニュータウン鉄道・新京成電鉄・千葉都市モノレール・小湊鉄道
埼玉高速鉄道
横浜高速鉄道・横浜市営地下鉄・江ノ島電鉄
関東鉄道・鹿島鉄道・茨城交通
甲信越地方
松本電鉄 3000系
東海地方
名鉄 新3300系
大手民鉄・地下鉄
伊豆急行・愛知環状鉄道・名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)・神岡鉄道
関西地方
近鉄 12200系
大手民鉄・地下鉄
京都市営地下鉄・北大阪急行電鉄・大阪モノレール・泉北高速鉄道・能勢電鉄・泉北高速鉄道・神戸市営地下鉄・北神急行電鉄・神戸電鉄・山陽電鉄
四国地方
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九州地方
福岡市営地下鉄 1000系
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